アイガモ農法の概要

アイガモ農法とは、アイガモを田んぼに放し、その生態活動を利用して、農薬や化学肥料の使用を減らし、持続可能で環境に優しい農業を実現する方法です。そもそもアイガモとは、カモとマガモの交配種です。体は大きいが飛ぶことのできないアヒルと、飛ぶことはできるが体が小さいマガモを掛け合わせた結果、体は小さくて飛ぶことができないアイガモが誕生しました。

アイガモは、田んぼの雑草を食べてくれるだけでなく、糞を通じて天然の肥料を提供し、さらに田んぼを歩き回ることで土壌を掘り返して酸素を供給します。この結果、化学肥料や農薬に頼らずに、健康的で美味しいお米が栽培できるのです。

アイガモが田んぼで活動している様子。水面に浮かぶアイガモたちが、雑草をついばむ姿が印象的です。

アイガモ農法で作られたお米は、化学肥料や農薬の使用が抑えられるため、より自然 な栽培環境で育まれます。このお米は、粒がふっくらで艶があり、独特の風味とふっくらとした食感が特徴です。また、天然の肥料が豊富に含まれているため、お米本来の甘みや旨味が際立っています。栄養面では、一般的なお米よりもビタミンやミネラルが豊富で、健康にも優れた効果が期待できます。

アイガモ農法の環境への影響

アイガモ農法は、環境に優しい持続可能な農業方法であり、多くのプラス面があります。まず、農薬や化学肥料の使用が大幅に減少するため、地下水や河川への汚染が抑制されます。これにより、周辺の生態系の保護につながります。また、アイガモが田んぼで活動することで、水質が改善され、多様な生物が生息できる環境が整います。さらに、アイガモ農法では、病害虫の発生も自然に抑えられるため、生物多様性が保たれることにも貢献しています。

アイガモ農法によって改善された水質や生態系の風景。田んぼの風景

アイガモ米ができるまで

アイガモの雛は田植の真っ盛りの5月下旬に生まれたばかりの雛が大阪の孵化場から航空貨物でやってきます。毎年、千歳空港まで引き取りに行きます。その前に、ビニールハウスの中に飼育場を作っておきます。それから約2週間、餌を与えて体を大きくして、いきなり水田に入れても大丈夫なように育てます。

田植えも終わり6月の中旬の暖かい快晴の日の朝に水田に雛を放します。羽に油がついて水を弾く様になるまで1日かかるので、寒い日に放すと寒さで体が弱って死んでしまうからです。また、カラスや猛禽類も上空から狙っていますので、そばに近づいてきたら人が払わなければなりません。

もちろん、水田にアイガモを放すまえに周りに電気柵を張り巡らし、キツネが侵入するのを防がなければなりません。準備に手間のかかる作業です。数人がかりで何日もかかります。

水田に放してからしばらくすると、動きも敏捷になり、あまりカラスには捕まらなくなりますし、羽も最初の様にずぶ濡れになることもなく安心して様子を見に行けるようになります。10羽以上で集団になって泳ぐことが多いので、畔に近づいてくると大変賑やかです。この時期に餌付けをすると、水田に近づくだけで群居して集まってくるようになります。

アイガモの成長は早く、7月にはほぼ成鳥になります。7月末にはアイガモの仕事も終わり、稲穂が出たら食べられてしまうのでその前に水田から外へ引っ越しします。川のそばの陸地に池を掘り、電気柵で囲って、新しい飼い主が引き取りに来てくれるまでくず野菜やくず米などを与えてしばらく育てます。最終的には食用になります( ;∀;)。